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僕は、突然の雨に降られて、地下通路に駆け込んでいた。 少しだけ雨宿りをして、様子を見ることにし、少し落ち着いてきた時……。 通路の奥の方で何か聞こえてきた。 人の呻きだろうか。 地下通路の奥から聞こえるのは、女性のただならぬ声。 (まさか……こんなところで?) いくら人通りが少ないとはいえ、真昼間からふしだらなことをするなんて大胆すぎる。 (ほ、本当に……えっちなことをしているのかな……?) 僕は、足音を忍ばせながら階段を下りて行った。 息を殺して通路の奥を覗き込む。 (うわっ……。本当にしていたっ) あおむけになった男の上に女がまたがり、腰をふっていた。 その女の人は激しく尻肉を弾ませている。 二人とも衣服は身に着けているので、結合部そのものは見えないが、 間違いなく男女の行為におよんでいるはずだ。 人通りが少ない地下通路とはいえ、誰に見られるとも知れない公共の場で交わっているとは……。 「もうっ……限界ですっ」 女性の淫奔な腰づかいに、男の方が音を上げる始末だ。 「まだよっ、もう少し……。若いんだから、もう少し我慢なさい……」 男をたしなめる女性の声を聞いて……ふと僕は思った。 (あれ……この声、どこかで聞いたことがあるような……) はっとした。 『どこかで聞いたことがある』どころではない。 毎日聞いている。 (ママっ……) 「ああぁ……んあぁ……んはぁっ……あんっ……。いい……若くて元気な『男』……とってもいいわっ」 いたたまれなくなった僕は、その場から駆け出していた。
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